2009年5月10日 (日)

性善説・・・

 面白い記事があった。社員をどのように扱えば業績を上げられるか・・・雑誌「プレジデント」が配信しているブログ記事5月10日配信より・・・



  不況で業績が悪化すると統制的な手法で組織を締めつけ、業績を上げようと試みる経営者が多くなる。一時的には業績が上がるかもしれない。ただ、長い目でみると多くの場合、従業員の士気を低下させ、組織を疲弊させるだけの結果に終わる。
 この問題を考えるうえで参考になるのがマグレガーの「X理論・Y理論」である。


 X理論とは、単純に言うと性悪説である。人間は生来怠け者でできるだけ仕事をしたくないと思っている。従って大抵の人間は統制や命令、あるいは処罰で脅されなければ企業目標の達成に十分な力を出さない。また、普通の人間は命令されるほうが好きで、責任を回避したがり、安全を望むという考えである。
 これに対しY理論は性善説である。人間は生来仕事が嫌いということはなく、条件次第で仕事は満足感の源にも懲罰にもなる。従って統制や命令、処罰だけが企業目標の達成に力を発揮する手段ではなく、やりがいのある仕事を与えれば人は自ら働く。また、普通の人間は条件次第で責任を引き受けるばかりか、自ら責任を取ろうとするという考えである。


 このようにX理論・Y理論は学者の理論ではなく、実務家の人間観を分類したものだ。マグレガーは、Y理論で経営を行っている経営者のほうが高い成果をあげていると主張している。
 確かにそれはそうだろう。信じて任せたほうが人は力を発揮する。時々悪いことをする者もいるが、それは一部である。

 ところがY理論を採用しない人たちもいる。株主や投資家だ。経営者や従業員は放っておくと何をしでかすかわからないから内部統制を導入し、しっかり監視しなければいけないという考え方はX理論に通じている。
 だが、会社のすべてなど監視しきれるものではない。内部統制は企業の足かせになっているのが現状だ。


 また、経営者が短期的な成果を追いかけると、X理論的な方向へ行きがちになる。厳しいノルマを課し、裁量は与えず、目標を達成できなかったらペナルティで追い立てる。しかし、そんなやり方をしたら会社がおかしくなってしまう。
 先日、四半期決算を始めてから日本の会社はおかしくなったという趣旨の記事がブルームバーグ・ニュースに掲載されていた。ファイナンス情報の媒体でさえそういう主張をするのである。短期的な数字にとらわれてはいけない。


 一方、長期的な成果を求めれば、自ずとY理論による経営になる。典型的なケースが2002年に日本経営品質賞を受賞したネッツトヨタ南国であろう。
 自動車は日本を代表する産業であるにもかかわらず、その販売店の就職人気は非常に低い。自動車販売に付きものの訪問営業や厳しい販売ノルマが敬遠されているのである。
 そんな業界の中でネッツトヨタ南国は皆が嫌がる訪問営業や販売ノルマを廃止する一方、既存顧客へのフォロー活動に注力した。お買い上げいただいたお客様を訪問し、車を清掃したりメンテナンスを行ったりするのである。これならお客様に喜ばれ、社員はやりがいを持って仕事に取り組める。その結果、同社は今年1月、一月として過去最高の販売台数を更新した。


 ただし、そんなネッツトヨタ南国の経営も最初からうまくいったわけではない。Y理論のアプローチだと成果が出るまでに時間がかかるからだ。
 だが見方を変えると、時間をかければ会社を良くできるということでもある。業績が低迷すると短期的な数字を求めX理論に走りたくなるが、そこを辛抱するのが真の経営者である。
 Y理論に基づいた経営を行えば、社員のミスも出てくるだろうし、すぐV字回復ということにはならない。だが、それを承知で10年先、20年先には必ず良くなるという長期的視野で取り組むことが大切だ。

 そうすれば社員も「ここは良い会社」と感じて懸命に働いてくれるだろう。



 公務員の職場も最近のマスコミ論調などで、理事者や職員は放っておくと何をしでかすかわからないから内部統制を導入し、しっかり監視しなければいけないという考え方が蔓延し、市民への説明責任と称してやたら非効率なことが行なわれるようになってきている。

 市民との関係も逆転したかもしれないが、「垂直の関係」というのは変わっていない。官の非を鳴らすは大いに結構だが、そこからどのような関係を結んで行くのか、「上下関係」からの脱却こそ必要なのではないか。























 

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2009年4月 8日 (水)

何が虚偽記載?

 民主党代表の小沢一郎氏の秘書が「政治資金規正法」の虚偽記載で起訴され、政権交代を阻止したい勢力から総攻撃を受け、民主党の支持率も下がってきた。その意味では、半ば彼らの意図は成功しつつあるように思える。

 しかし、どうしても腑に落ちないことがある。「虚偽記載」という罪名だ。寄付を受けた団体名を偽ったというのならそういうことになるが、実際に受けた団体名を記載して「虚偽」といわれれば、どのように記載すればいいのだろうか。理解に苦しむところだ。

 すると、津川敬さんのブログに田原総一郎の「朝まで生テレビ」に関するものがあった。そこでの元東京地検特捜部検事の郷原さんのコメントが記載されていたので引用したい。(以下、津川さんのブログより)

 去る3月27日深夜(実質28日)恒例の「朝まで生テレビ」があり、「小沢一郎と献金問題」を明け方まで論議していましたが・・・自民党はいつものおしゃべり(山本)一太、公明党は元毎日新聞記者を名乗る高木陽介選対委員長。民主党はやや小沢に近い若手と小沢から距離をおく若手の二人で、大して期待は持てませんでした。

 でも政権交代を一貫して主張する北海道大学の山口二郎教授と郷原信郎・元東京地検特捜部検事が出てキチンとした論理展開をしていたことに救われる思いでした。

 元地検検事の郷原氏が生テレビで述べた内容は・・・
 「政治資金規正法の趣旨は政治資金の収入と支出という金の流れを透明化させることだ。収支報告書には寄付の行為者を記載すればよく、金の出し手(出資者)の記載は求めていない。小沢氏の団体が提出した収支報告書は献金された政治団体名、金の収支とともに明確に記載されている。起訴された容疑の『虚偽記載』がどの部分を指すのかサッパリ分からない」。

 その上で郷原氏は「検察のいう西松OBの政治団体は実体がなく、いわゆる“ダミー”だったと指摘しているが、この政治団体事務所は実在し、代表者も常駐していた。これがダミーなら国内に何百、何千ある政治団体の大部分がダミーということになる。それなのに小沢氏の団体だけを違反とした理由が分からない」と、正面切った法手続き論で地検特捜部を批判しました。

 また、「このように筋の通らない捜査なのに検察は法解釈についての説明を一切していない。これでは検察がその気になればどんな政治家でも逮捕・起訴できることになる」、との郷原氏の冷静な分析に反論できる政治家や評論家は誰もいませんでした。

 郷原氏はさらにつづけて「検察はなりふりかまわず(公設秘書を)起訴したが、このままだと公判前の整理手続きの段階で(検察が)論理破綻するのは確実だ。検察は一刻も早く党代表の座から下ろしたくて無理をした」ともいってます。いつもの田原総一朗ならアバウトな二者択一の暴論で発言を封じ込めるところですが、郷原氏には通用しません。

 共産党は相変わらず教条主義の政界浄化論だけを愚直に展開するだけで、3時間に及ぶ生テレビは終焉を迎えるのですが、最後にテレビ視聴者からの意見をまとめるシーンで異変が起こりました。 読売、共同の世論調査とまったく真逆の結果が出たのです。

 小沢続投に賛成が64%、反対派32%となり、続投すべしという意見の大半が「政権奪取のため必要」「検察の捜査に疑問」というものでした。視聴者が郷原氏の説得力ある分析に共感した結果であることは論を待ちません。

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2009年3月16日 (月)

虫が良すぎまいか!

14日、護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」が呉基地を出航しました。「海賊新法」成立の見込みもないままに、自衛隊法82条「海上警備行動」による応急的、「さみだれ」的派遣です。「海賊」を逮捕するために海上保安庁の職員が4人づつ乗艦していますが、逮捕した場合、どこで裁判を受けさせるのかも定かではありません。

ところで、海上自衛隊が保護対象船舶としているのは、
①日本籍船
日本人が乗船する外国籍船
③日本の船舶運行事業者運行する外国籍船または・・・略・・・です。

元船員の話によれば、日本の海運会社が運航している外国船(外国航路に就航している船舶)は約2000隻ですが、日本国籍を持つのは約100隻ほどです。ほとんどは海運会社が税金の安い外国にペーパーカンバニーをつくり、その国に登録しています。これを「便宜置籍船」といます。本来、船舶は「旗国主義」をとっており、実質的に海運会社が支配している船舶でも、その船舶が所属する国の法律が適用されます。
元船員がいうように、「旗国主義」を徹底すれば、護衛艦は100 隻程度にしか対応できません。そこで、日本船籍の船だけでなく、日本人船員が乗船したり、あるいは日本向けの貨物を積載している外国船籍の船にまで護衛対象を広げたわけです。
船員いわく。「税金のがれのために、法のゆるやかな国に船舶を移動して、日本人船員の職場をなくしておきながら、海賊に襲われるからと日本政府に泣きつき、『国民の税金を使って自衛隊を派遣させろ』(日本船主協会の要求)などと言うのは、虫がいいにもほどがある」(『週刊金曜日』2月6日号「論争」欄)と。鋭い指摘です。

朝日新聞(3月15日朝刊)に、「猛速リストラ副作用」「企業、批判受け政府頼み」の見出しの記事に
(日本経団連が政府に雇用セーフティネットの拡充を求める緊急申し入れに対して)「しかし、小さな政府を求めてきた経済界が急に政府頼みに転じる姿には、民主導で能力育成の仕組みを作るなど、企業としての責任も示さなければ、小手先の弥縫策になってしまう」と批判。

構造改革、小さな政府、官から民などなど、その結果が、かんぽの宿に代表されるように国民の財産を食い散らかし、景気が悪くなれば、散々儲けを生み出させた従業員を路頭に放り出し、政府に「尻を拭け」とは、見下げ果てた輩だ。

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2009年3月11日 (水)

全亭協・・・「非勝(ひかつ)三原則」

夕刊を見ていると面白い記事にであったので紹介します。(朝日新聞 09/3/11「窓」欄より)
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 福岡市の全国亭主関白協会(全亭協)が設立10周年を迎える。ここでいう「関白」は、家庭内の天皇である妻を補佐する地位をさす。「いかにうまく妻の尻に敷かれるか」を日々研究している。

 作家でタウン誌プロデューサーの天野周一会長(56)は「風呂、めし、寝る」の3語に象徴される典型的な旧来型の亭主関白だった。99年に友人、知人4人が立て続けに妻に三行半(みくだりはん)をたたきつけられた。その話を何げなく妻にすると、「次はあなたの番よ」と矢が飛んできた。

 それを機に、旧来型から決別した。しゃれ半分で始めた全亭協の会員は当初11人、団塊の世代が定年を迎え、熟年離婚が社会問題化したのを契機に急増した。いまや40、50代を中心に17カ国の約7千人に膨らんだ。昨年暮れには「世界亭主サミット」が東京で開かれた。

 全亭協が提唱する夫婦円満の極意の一つは「愛の三原則」。ありがとうをためらわずに言おう。ごめんなさいを恐れずに言おう。愛してるを照れずに言おう。「実行すれば、晩酌の発泡酒が普通のビール変わるなど次々に奇跡が起きる」と天野会長は笑顔で語る。

 もう一つの極意が「非勝(ひかつ)三原則」。夫婦喧嘩の際に「勝たない、勝てない、勝ちたくない」。妻は絶対に謝らないもので、反論すれば昔のことを蒸し返される。亭主が負けるのが鉄則だそうだ。

 封建的な体質で知られた九州男児にしてこれである。世の旧亭主関白も観念する潮時なのだろうか。
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 確かに、ケンカをするたびわが領土は削り取られ、失地回復は夢のまた夢。捲土重来を期しては、一敗地にまみれ、いまや軍門に下り「命乞い」状態。
早々に宗旨替えをはかる季(とき)かもしれませんなあ。

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2009年3月 1日 (日)

賃上げも雇用も!

 百年に一度の大不況に「賃上げも雇用も」とは何を血迷うているのだ。正社員で組織する連合の”思い上がりだ”といった話を聞くが・・・
 確かに、政府発表の今期GDPはマイナス12.7%、戦後最大の落ち込みとなっているし、失業者は発表のたびに増え続け、遂に157,000人。3月末はもっと増える見込みといわれている。
 しかし、従業員など労働者の首を切り、家庭を崩壊させるなければならないほど、本当に企業は倒産の危機にあるのだろうか。国内総生産が落ち込んでいるというが、生産調整(在庫整理)の意味合いが大きいのではないか。それが証拠に、春以降、生産量を増やす意向を表明している企業も出始めている。
 むしろ、危機を利用し、「危機への悪乗り」によって労働側の攻勢を回避しようとしているのではないか。この際、「余剰人員」を整理し、スリム化と業態転換を図って行く。あるいは「危機」を誇張することで社内外を引き締め、雇用維持を理由に労働側の賃上げ攻勢を跳ね返す。このような隠された狙いがあるのかもしれない。
 春闘本場を間近に控え、企業は「内部留保」をめぐって、必死に防戦を張っている。経団連の機関誌「日本経団連ニュース」では「意義の再確認が必要」として「内部留保で雇用問題の解決は困難」という記事を掲載し、トヨタは全従業員に「内部留保と雇用について」と題し「内部留保は、事業の継続・成長のため設備などに投資されおり、手元資金とは異なる」、「手元資金の取り崩しによって、雇用の前提である事業活動継続が脅かされる事態は避けなければならない」など、人事部作成の文章を配布した。
 3月末までに仕事を失う非正規の労働者は、派遣業界団体の推計で40万人といわれている。一方、製造大企業(資本金10億円以上)の内部留保は97年から07年の10年間で32兆円も増え、120兆円にもなっている。このわずか1%で40万人を1年間雇用(年収300万円×40万人=1.2兆億円)できる。1%でも内部留保が減れば、事業の継続が不可能になるとでも言うのだろうか。
 内部留保を事業の継続や成長のため「設備投資している」といっているが、土地や機械、設備などの有形固定資産は、逆にこの10年間で1.5兆円減っている。内部留保のごく一部を雇用にまわしたからといって、設備投資が滞るだろうか。
 この間、労働者の実質賃金は全く上がっていない。労働分配率はこの10年間で6.7ポイントも落ち込んでいる。反面、役員報酬と株主配当は大幅に上昇した。
 製造業大企業の配当金総額は5.7兆円(07年度)にもなる。トヨタの名誉会長の豊田章一郎氏は15.6億円、あの日産のカルロス・ゴーン氏でも1.2億円の配当を手にしたといわれている。
 ソニーのように、16,000人のリストラを計画、赤字を予測しながら、配当は増額する計画の大企業もある。
 この間、賃上げを求められた時に、経営側はなんと答えたか。「いざというときのためにとっておく必要がある」と答えたはずだ。百年に一度の大不況という危機に直面している「今」以外に、”いざというとき”があるのか。
 いまこそ、この間ため込んできた内部留保を取り崩し、様々な引当金を使って、雇用を維持し、賃上げの原資にあて、内需拡大による建て直しを計るべきだ。 

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2009年2月25日 (水)

規制強化より廃止では!安定型最終処分場

 全国各地で深刻な被害を出している安定型最終処分場も設置基準を厳しくする方針を環境省が打ち出すそうだが、そもそも素掘りの最終処分場に問題がある。安定型は禁止し、管理型か遮断型にまとまるべきではないか。

以下、津川敬さんの「ブログ」の引用。

 2月23日読売が報じた以下の記事に唖然とした。

 「安定型」産廃処分場、設置基準強化へ…環境省
 汚水漏れなどの問題が指摘される産業廃棄物の安定型最終処分場について、環境省は設置基準を強化する方針を固めた。
 住民側が建設差し止めを求めた訴訟で、安全性に疑問があるとして相次いで差し止めが認められたのを受けたもの。政省令を来年度中に見直し、新たな汚染防止対策を新基準に盛り込む。
 埋め立てた廃棄物中の通気性を良くして有毒ガスの発生を抑える措置や、現在は目視で実施されている搬入時の検査について成分分析の導入などを検討する。
 日本弁護士連合会などは安定型の新設を認めないよう求めているが、同省は建設費の安い安定型を認めなければ、処分場が不足して不法投棄が増えかねないとし、現行の「管理型」「遮断型」「安定型」の3区分を維持する。安定型は素掘りの穴に直接ゴミを埋める最も簡単なタイプ。
                   (2009年2月23日03時04分 読売新聞)

 環境省がなぜ、いま、こんなとぼけた方針を出してきたのか。それだけ安定型処分場の被害が拡大しており、環境省も何とかしなければ治まりがつかなくなったのだろう。しかも安定型処分場は建設コストが安いから、これをなくすと不法投棄が増えるとは、まさに経済全体が落ち込んでいるのだから「環境汚染防止になぞ金はかけられない」といっているようなもので、一種の恫喝である。
 すでにこのテーマで2年前、ゴミ弁連が環境省交渉を行なった。その時も環境省はひたすらとぼけていた。以下、当時このブログに書いたルポを再掲しておきたい。

 ますます重要さを増すゴミ弁連の存在
                       [廃棄物政策] 2007年10月08日
 ゴミ弁連(闘う住民とともにゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会・会長梶山正三弁護士)が結成されて足かけ10年になる。
 本年(2007年)3月30日午後、そのゴミ弁連がはじめてデモ行進を行なった。掲げるスローガンは「安定型処分場廃止を求める法改正」である。3月31日から4月1日にかけて東京で開催されたゴミ弁連第11回総会のメインテーマでもあった。デモを終えた午後4時、かねて申し入れていた環境省への要請行動に入った。

◆判例を知らなかった
 ゴミ弁連が同省廃棄物・リサイクル対策部適正処理・不法投棄室の課長補佐など担当者3人に手渡した「要請」は以下の4点である。

1. 安定型処分場を即時廃止すること
2. 廃棄物の処分場設置について水源地などの立地規制を行なうこと
3. 事業者の経済的基盤に関する規制強化
4. 廃棄物処分場の許可に関する自治体権限の強化などを含む廃棄物処理法の抜本  的改正

 これに対する環境省側の回答(要旨)は以下のとおりである。
 「国は適正な構造基準・維持管理基準を設置者に義務付けており、都道府県はそれに基づき厳格な審査を行っている。生活環境アセスについても専門知識を有する人たちから意見聴取をしており(安定型処分場へ)搬入する際も展開検査を義務づけているから安定五品目以外の廃棄物が混入することはない」。さらに担当者のひとりは「私は処分場を100個所ほど見ているが、すべて基準を満たし、環境にも問題ないというところが殆どだった。中にはうまくいっていないと思われる個所もあるが、すべての安定型処分場が基準未満ということではない」と答えている。
 どこへ行って何を見てきたのか。
 安定型処分場が全国各地で深刻な被害をもたらしている事例は枚挙に暇がない。安定五品目に有害物質が含まれていることはむろん、腐敗性、可燃性廃棄物が混入する可能性は多くの裁判事例が認めるところであり、悪臭や発酵熱による農作物の被害等も続発している(千葉県銚子市のキャベツ畑、神奈川県三浦市の大根被害など)。さらに筑紫野市(福岡)や栗東市(滋賀)の安定型処分場から数万ppmレベルの硫化水素が発生した事実も耳目に新しい。 
 安定型処分場に対する司法判断で最も有名なものに1992年(平成4年)の宮城県丸森町仮処分決定がある。いわゆる人格権裁判だ。
 ごく最近では2005年7月19日に本訴判決のあった水戸市全隈(またくま)の建設差止め請求があり、ここでは「安全な水道水を享受する権利」が認められ、住民側勝訴となった。 
 裁判に至らないまでも「埋立廃棄物に付着していた木くず、紙くず等の有機物が腐敗したところに長雨による雨水の浸透で嫌気状態となった多量の浸出水が漏洩、周辺河川に変色・異臭をもたらした」ケース(八王子戸吹処分場)や閉鎖した安定型処分場の跡地に学校が建ち、児童らが目や頭の痛みを訴えたケース(沖縄県読谷村)などがある。
 以上の事例はまさに氷山の一角だが、信じがたいことに環境省側はこれらの情報をまったく把握しておらず、特に裁判事例については「判決文があったらそれをいただけないか」といい出す有様だった。交渉に当たった弁護士たちもこれには絶句、「とにかく(判決文を)提供するから、現場で何が起きているかを十分勉強してほしい」と通告して約1時間の要請行動を終えた。
  
◆安定型をなくせない環境省 
 環境省(旧厚生省)の危機意識のなさはいまにはじまったことではない。以下のような新聞報道がある。
「環境庁は全国1600か所を占める安定型処分場の中から82か所を無作為抽出し、94、95年の2年間にわたって調べた。こうした調査は初めて。重金属類については水銀、カドミウム、鉛、ヒ素の4種類が12か所から検出され、7か所で地下水の環境基準を上回った。(中略)重金属類か発ガン性物質のいずれかに汚染されている処分場は全体の36%にあたる30ヵ所に上った」(読売新聞1996年11月29日付け)。
 本来、厚生省はその時期に有効な手を打つべきであった。事実1997年の廃棄物処理法の本格改正にあたり、中環審の中では安定型処分場の廃止についての論議が高まっていたという。しかしそれは見送られ、わずかに自動車のシュレッダーダスト、廃プリント配線板(鉛を含む仕様のものに限定)、鉛蓄電池の電極、廃ブラウン管、廃石膏ボードなどについて安定型処分場への埋立を禁止するにとどまった。
 こうした動きを見ると、当時環境庁という官庁が如何にそれなりのチェック機能を持っていたかがよくわかる。その機能を飲み込んで省という形に一本化したことが果たして正しかったのかどうか。
 最新の統計によれば安定型処分場の数は1,554。最終処分場全体の61.0%だ。これを廃止したら確実にパニックが起きる。環境省の思い込みと恐怖はそこにある。

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2009年2月22日 (日)

ワークシェア 何をめざす!

 今朝の朝日新聞の「耕論」で”ワークシェア 何をめざす”として3人の小論文が掲載されていました。
 ご参考になればと、その一人(弁護士の中野麻美さん)の論文を紹介します。
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 一体何のためにワークシェアリングを実現するのか。労使とも、目指す先が全く見えていないのは不思議だ。理念を一致させないまま進めれば、必ず失敗に終わるだろう。

 日本の労働は実に多くの課題を抱えている。正社員は、体を壊すほど長時間働いている。成果主義が進んで職場では支え合いが失われ、うつ病になる人も増えている。

 働く人全体の4割に迫る非正規雇用も深刻だ。雇用は不安定で、自立して生
きるためには死ぬほど長時間働かなければならないほど賃金が低い。その象徴がシングルマザーだ。東京で学齢期の複数の子どもを育てる親に支給されている生活保護給付ほどの収入を得るのに、時給900円のパートだと月300時間も働かなければならない。細切れの短時間契約で複数の職場を掛け持ちするから、休日や時間外労働の概念もなく、雇用保険にも加入できない。

 今回の議論では、「経済危機の影響で職を失った非正規の人のために」という目的が強調されている。だが、理不尽格差を残したままワークシェアリングを導入しても、非正規雇用の生きていけない低賃金と不安定さは変わらない。

 正社員にとっても迷惑な話だ。ワークシェアリングを導入する企業の中には、副業を認めるケースが出ている。アルバイトで収入減を補うようでは、長時間労働の改善につながらず本末転倒だ。

 もっと怖い問題も見え隠れする。経済界は人件費抑制を至上命題とする姿勢を変えていない。「非正規のため」という声を逆手に取りながら、正社員の賃金カットや解雇されにくい既得権の見直しにつなげる千載一遇のチャンスと見ているのではないか。

 雇用形態がどうであれ、人が労働を通じて求める基本的価値は、生活の安定であり、働きが公正に報われ、自分には価値があると実感でき、未来に希望をつなぐことにある。日本の雇用システムは、その土台を破壊している。

 雇用の安定、労働時間短縮、均等待遇保障の実現ために雇用のあり方を構造的に変え、新しいシステムを構築する―ここに日本のワークシェアリングの今日的意義がある。「不況なので労働時間を減らし仕事を分け合い、雇用が確保されればいいじゃないか」という程度の意識では、現状は何も変わらない。

 日本で均等待遇を保障したワークシェアリングが実現しにくい要因としては、正社員は生活や人格をまるごと会社に差し出し、それで処遇や賃金が決まるという独特のスタイルに、業績主義が接ぎ木されて身動きできなくなっている現実がある。これを変えない限り、労働時間短縮も仕事を分け合うこともできない。仕事に対して公正に支払われる賃金に切り替えるべきだ。

少子高齢化の進行で、1人の高齢者を現役世代2人で支えなければならない時代が間もなくやってくる。長時間労働でかろうじて家族を養う賃金ではなく、みんなで働き、自立して支えあう社会の建設に取り掛からなければならない。矛盾を重ねてきたこれまでの雇用システムしがみつくのは、もうやめにしたい。
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 雇用問題が生じると、経営側は都合よくワークシェアリングを持ち出す。しかし、同一価値労働・同一賃金。つまり時間当たりの賃金の均等待遇というワークシェアリングの前提をめぐっては最後までかみ合わなかった。とは、02年当時連合会長として、経営側とワークシェアリングで協議した笹森前会長の話。

 (多様な働き方の保障といわれた)多様就業型については、オランダがモデルと言いながら、それはうわべだけで、実はパートタイマーを増やして、労働力を安上がりにしようという側面があったのではないか。その結果、皮肉なことに派遣やフルタイムの有期雇用がどんどん増え、今回の派遣切りや雇い止めにつながった。とは、労働政策研究機構の浜口さんの話。

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2009年2月18日 (水)

飲みすぎは「薬」、「酒」どっち?

 ひどい記者会見もあったものだ。G7後の中川財務大臣の記者会見だ。
 酔眼で意識も朦朧とし、ろれつは回らず、記者の質問もまともに聞けず、はては、人のコップにまで手を伸ばし・・・本人は「時差ぼけに風邪気味で、薬を飲みすぎた」と弁明。
 「風邪薬の飲みすぎであのような状態なる人はあまり見かけないが、お酒の飲みすぎであのようになる人はよく見かける」が、本人は「全く飲んでいない」から「口にした程度」、「ごっくんはしていません」と変遷。しかし、会見は、薬(百薬の長?)を「2升ほど」飲んだのではなかろうかという酩酊状態だった。
 「友人の医者に処方してもらった」といっているが、飲みすぎると、あのような状態になる風邪薬って???医者は処方上の注意をしていなかったのだろうか。
 国内のGDPは戦後最悪となり、中小の倒産に加え、大手の首切りなど大量失業者が出現し、内閣の支持率は低下の一途という状況で財政と金融を預かる重要閣僚が「薬の飲みすぎでラリっている」場合か。あまりにも緊張感が欠けているとしか言いようがない。
薬の処方箋が理解できないものに、国の経済立て直しの処方箋がかけるというのか。
 麻生は「健康に注意し、職務に励んでもらいたい」と早々と続投を決めたが、本人の辞任意向の申し入れに「(予算及び関連法案の成立まで)当面の懸案事項に全力で取り組んで欲しい」と指示と全くKY(空気の読めない)対応に終始。あまりにも国民を馬鹿にした対応だ。
 結果的に辞任となったが、「酒を飲んでいない」という、嘘を平気でつく国会議員を重要閣僚に任命した責任は逃れられない。
 大体、この内閣は、総裁選後直ちに総選挙に打って出るための内閣であって、「論功行賞、お友達内閣」と揶揄されてきたのであって、本格的な仕事をするための人選でないことは、発足2日にして「暴言」辞任した中山国交相でも明らかであった。
 いつまで政権の座にしがみつこうとするのか。直ちに、辞任し、国民に信を問え!

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2009年2月15日 (日)

問題多い海自派遣

「麻生のぶれ」の「小泉の反撃」、定額給付や消費税問題など話題にことかかない国会情勢ですが、海賊対策として「自衛隊のソマリヤ沖派遣」がそんなに大きな話題とならず、派遣が決まりましたが・・・

水島先生のブログの引用で、おさらいしておきます。

「ソマリア海賊の問題」です。28日、浜田靖一防衛大臣は、アフリカ東部のソマリア沖に出没する「海賊」対策のため、海上自衛隊に派遣準備指示を出しました。

各紙ともに特集記事を出して詳しく伝えています。安保理決議があり、各国が軍艦を出しているから当然という意見もありますが、昨年6月の安保理決議1816号は米仏両国がかなり強引に可決させたもので、実は議論のあるところです。この決議で、各国はソマリアの領海にまで軍艦を入れられることになりました。91年の内戦でソマリア中央政府が崩壊。沿岸警備隊もなくなると、EU諸国や日本など先進国の漁船がソマリアの海で魚をとり、また産業廃棄物を捨てました。ソマリア漁民や元沿岸警備隊員たちが「海賊」となって、この間の資源被害を海賊行為で賠償させているという面もないとはいえません。「海賊ビジネス」といわれる側面です。

海賊は犯罪で何ら正当化できませんが、だからといって自衛艦を派遣して問題が解決するわけでもありません。しかし、海軍力を強化している中国がいち早く軍艦を送ったことから、『朝日』25日付によると、内閣官房のある高官が「中国に負けるわけにはいきません」と進言。首相が「そりゃそうだ」と応えて、自衛艦派遣を急げという流れになったようです。防衛省は慎重で、「海賊対策新法」を制定してからというのを、麻生首相が急がせた結果、自衛隊法82条の海上警備行動による派遣になったものです。この規定は日本近海を想定したもので、しかも海上保安庁では対処できない「特別の必要」性が示されねばなりません。海自か海保かという選択肢で考えてよい問題ではないのです。第一義的に海上保安庁の問題として緻密に検討されるべきでした。

実際、海保には、東南アジア各国の海上保安・沿岸警備機関とのネットワークもあり、中東にもサウジやアラブ首長国連邦などに人員を派遣しています。ソマリア海賊問題でも、周辺諸国への人的・資金的援助も実際に展開している矢先、なぜ自衛艦を送るのか。今回は中国の影が大きいと『東京新聞』29日付は指摘していますが。

各紙社説の評価も微妙に割れました。『産経』29日付社説が海賊新法までの「つなぎの措置」として柔軟に運用せよ、『日経』29日付社説は「むしろ遅すぎた」というトーン、そして『朝日』24日付までもが「新法での派遣が筋だが」、例外的に海警行動でやむを得ないという論調でした。他方、『毎日』28日付は、派遣を批判するトーンが強いものでした。地方紙・ブロック紙では、海賊対策の根拠法を急げという主張が『熊本日日』27日付、『南日本新聞』29日付などに出ましたが、むしろ「危うさ残す見切り派遣だ」(『西日本新聞』26日付)、「憲法を軽んじていないか」(『琉球新報』27日付)、「ソマリア派遣『積み残しが多すぎる』」(『北海道新聞』27日付、同旨『岩手日報』29日付)等々、批判的な姿勢が目立ちました。

特に『新潟日報』29日付の「泥縄の海自派遣はやめよ」は最も厳しい論調でした。海警行動による派遣は「論理も筋もない場当たり的な派遣で、到底容認できない」として、「海上交通の安全を確保するのは海上保安庁の任務である。…海賊対策を急ぐなら、なぜ海保の活用を考えないのか。…海自より哨戒や洋上監視の能力が劣るとは思えない。海自を派遣するとしても、自衛官には逮捕や尋問の権限がないため、海上保安官を同乗させるという。木に竹を接いだような部隊が機能するのか。…憲法軽視も極まれりである」。まったく同感です。

海賊行為は犯罪で、これを取り締るのは海上警察の仕事です。犯罪の抑止、鎮圧、逮捕、捜査、人質救出のプロではなく、各国ともに軍艦を送ってきたところに別の問題もあります。軍艦で船舶をエスコートするやり方にも限界があり、仏海軍中将によれば、各国の軍艦でカバーできるのはソマリア沖の2%にすぎません。「海賊がロケット砲で武装しているから自衛艦」というのも安易な理由づけです。武器使用基準の曖昧さは最たるもので、海警行動の場合、警察官職務執行法7条で正当防衛が基本です。それに海自の場合、逮捕権限がない。武装工作船に対する軍事行動の訓練はしていても、海賊逮捕や人質救出などの訓練は十分でないという点からも、素人の自衛隊の派遣はむしろ危険という指摘があります。海自の特別警備隊を乗せていくようですが、この部隊も「不審船」対策専門で、逮捕や証拠保全の権限もノウハウも持っていません。なお、この部隊は、「はなむけ」という特殊な訓練で隊員が死亡する事件を起こしました。

『新潟日報』がいうように、海保の装備や能力は近年かなり強化されています。大型巡視船13隻を保有(「しきしま」は外洋型)。特殊警備隊(第5管区)もあります。首相の一言「そりゃそうだ」で急いで派遣され、その間に首相が交代では、送られる自衛艦艇にとっては突然の「派遣切り」のようなものです。

「広大な海域で有効な海賊対策を行うには国際協力が不可欠だ。その役割分担として日本は何をすべきか。こうした議論を脇に置いての海自派遣は拙速の見本といえよう」。前述の『新潟日報』社説の結びの言葉です。この問題は冷静に、かつ日本が持っている能力を緻密に検討した上で判断すべきでしょう。その際、基本に憲法の視点を忘れてはならないでしょう。

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2009年2月11日 (水)

鈴をつける者はいないのか!

 政権与党には、あの麻生(あほう)首相に引導を渡す人物はいないのか。
 5日に「私は郵政民営化に賛成じゃなかった。しかし、小泉内閣の一員として最終的に賛成した。(旧郵政省を管轄する)総務相だったんだけど、私は反対だと分かったので、郵政民営化担当ははずされた。郵政民営化担当相は竹中平蔵氏だったことを忘れないでほしい。私は総務相だっただけでぬれぎぬをかぶされるとオレもはなはだおもしろくない。」と発言。
 しかし、昨年の9月には、日本記者クラブでの自民党総裁候補討論会では、「経営者として申し上げさせていただけば、まず間違えていただいて困るのは、私は郵政民営化を担当した大臣ですからね。忘れないでください。」とも発言。
 一体どっちなんだ!まさにご都合主義、オポチュニストだ。国政を預かるものとしての資質を疑う。
 と、思っていると、昨日には、05年の総選挙で「国民が(争点と)感じていたのは郵政民営化かそうでないかだけで、(民営化の)内容を詳しく知る人はほとんどいなかった」との発言。
 内容を詳しく訴えることなく、「民営化か否か」と選挙に打って出たのは、誰なんだ。国民を愚弄し、議席を掠め取ったのは、誰あろう今の政権与党ではなかったのか。「まんまと騙したやった!」と吐露したに等しい。
 政権与党は、一体いつまで彼に総理大臣をさせるつもりなのか。
 「野党は、すべて政局がらみにしている」と、国会運営のまずさを全て野党の所為にしているが、彼らこそ、逆の意味で政局をからめているのではないのか。
 直ちに、国民に「麻生」を首相にしている政権与党としての”信”を問うべきだ。 

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