ワークシェア 何をめざす!
今朝の朝日新聞の「耕論」で”ワークシェア 何をめざす”として3人の小論文が掲載されていました。
ご参考になればと、その一人(弁護士の中野麻美さん)の論文を紹介します。
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一体何のためにワークシェアリングを実現するのか。労使とも、目指す先が全く見えていないのは不思議だ。理念を一致させないまま進めれば、必ず失敗に終わるだろう。
日本の労働は実に多くの課題を抱えている。正社員は、体を壊すほど長時間働いている。成果主義が進んで職場では支え合いが失われ、うつ病になる人も増えている。
働く人全体の4割に迫る非正規雇用も深刻だ。雇用は不安定で、自立して生きるためには死ぬほど長時間働かなければならないほど賃金が低い。その象徴がシングルマザーだ。東京で学齢期の複数の子どもを育てる親に支給されている生活保護給付ほどの収入を得るのに、時給900円のパートだと月300時間も働かなければならない。細切れの短時間契約で複数の職場を掛け持ちするから、休日や時間外労働の概念もなく、雇用保険にも加入できない。
今回の議論では、「経済危機の影響で職を失った非正規の人のために」という目的が強調されている。だが、理不尽格差を残したままワークシェアリングを導入しても、非正規雇用の生きていけない低賃金と不安定さは変わらない。
正社員にとっても迷惑な話だ。ワークシェアリングを導入する企業の中には、副業を認めるケースが出ている。アルバイトで収入減を補うようでは、長時間労働の改善につながらず本末転倒だ。
もっと怖い問題も見え隠れする。経済界は人件費抑制を至上命題とする姿勢を変えていない。「非正規のため」という声を逆手に取りながら、正社員の賃金カットや解雇されにくい既得権の見直しにつなげる千載一遇のチャンスと見ているのではないか。
雇用形態がどうであれ、人が労働を通じて求める基本的価値は、生活の安定であり、働きが公正に報われ、自分には価値があると実感でき、未来に希望をつなぐことにある。日本の雇用システムは、その土台を破壊している。
雇用の安定、労働時間短縮、均等待遇保障の実現ために雇用のあり方を構造的に変え、新しいシステムを構築する―ここに日本のワークシェアリングの今日的意義がある。「不況なので労働時間を減らし仕事を分け合い、雇用が確保されればいいじゃないか」という程度の意識では、現状は何も変わらない。
日本で均等待遇を保障したワークシェアリングが実現しにくい要因としては、正社員は生活や人格をまるごと会社に差し出し、それで処遇や賃金が決まるという独特のスタイルに、業績主義が接ぎ木されて身動きできなくなっている現実がある。これを変えない限り、労働時間短縮も仕事を分け合うこともできない。仕事に対して公正に支払われる賃金に切り替えるべきだ。
少子高齢化の進行で、1人の高齢者を現役世代2人で支えなければならない時代が間もなくやってくる。長時間労働でかろうじて家族を養う賃金ではなく、みんなで働き、自立して支えあう社会の建設に取り掛からなければならない。矛盾を重ねてきたこれまでの雇用システムしがみつくのは、もうやめにしたい。
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雇用問題が生じると、経営側は都合よくワークシェアリングを持ち出す。しかし、同一価値労働・同一賃金。つまり時間当たりの賃金の均等待遇というワークシェアリングの前提をめぐっては最後までかみ合わなかった。とは、02年当時連合会長として、経営側とワークシェアリングで協議した笹森前会長の話。
(多様な働き方の保障といわれた)多様就業型については、オランダがモデルと言いながら、それはうわべだけで、実はパートタイマーを増やして、労働力を安上がりにしようという側面があったのではないか。その結果、皮肉なことに派遣やフルタイムの有期雇用がどんどん増え、今回の派遣切りや雇い止めにつながった。とは、労働政策研究機構の浜口さんの話。
日本の労働は実に多くの課題を抱えている。正社員は、体を壊すほど長時間働いている。成果主義が進んで職場では支え合いが失われ、うつ病になる人も増えている。
働く人全体の4割に迫る非正規雇用も深刻だ。雇用は不安定で、自立して生きるためには死ぬほど長時間働かなければならないほど賃金が低い。その象徴がシングルマザーだ。東京で学齢期の複数の子どもを育てる親に支給されている生活保護給付ほどの収入を得るのに、時給900円のパートだと月300時間も働かなければならない。細切れの短時間契約で複数の職場を掛け持ちするから、休日や時間外労働の概念もなく、雇用保険にも加入できない。
今回の議論では、「経済危機の影響で職を失った非正規の人のために」という目的が強調されている。だが、理不尽格差を残したままワークシェアリングを導入しても、非正規雇用の生きていけない低賃金と不安定さは変わらない。
正社員にとっても迷惑な話だ。ワークシェアリングを導入する企業の中には、副業を認めるケースが出ている。アルバイトで収入減を補うようでは、長時間労働の改善につながらず本末転倒だ。
もっと怖い問題も見え隠れする。経済界は人件費抑制を至上命題とする姿勢を変えていない。「非正規のため」という声を逆手に取りながら、正社員の賃金カットや解雇されにくい既得権の見直しにつなげる千載一遇のチャンスと見ているのではないか。
雇用形態がどうであれ、人が労働を通じて求める基本的価値は、生活の安定であり、働きが公正に報われ、自分には価値があると実感でき、未来に希望をつなぐことにある。日本の雇用システムは、その土台を破壊している。
雇用の安定、労働時間短縮、均等待遇保障の実現ために雇用のあり方を構造的に変え、新しいシステムを構築する―ここに日本のワークシェアリングの今日的意義がある。「不況なので労働時間を減らし仕事を分け合い、雇用が確保されればいいじゃないか」という程度の意識では、現状は何も変わらない。
日本で均等待遇を保障したワークシェアリングが実現しにくい要因としては、正社員は生活や人格をまるごと会社に差し出し、それで処遇や賃金が決まるという独特のスタイルに、業績主義が接ぎ木されて身動きできなくなっている現実がある。これを変えない限り、労働時間短縮も仕事を分け合うこともできない。仕事に対して公正に支払われる賃金に切り替えるべきだ。
少子高齢化の進行で、1人の高齢者を現役世代2人で支えなければならない時代が間もなくやってくる。長時間労働でかろうじて家族を養う賃金ではなく、みんなで働き、自立して支えあう社会の建設に取り掛からなければならない。矛盾を重ねてきたこれまでの雇用システムしがみつくのは、もうやめにしたい。
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雇用問題が生じると、経営側は都合よくワークシェアリングを持ち出す。しかし、同一価値労働・同一賃金。つまり時間当たりの賃金の均等待遇というワークシェアリングの前提をめぐっては最後までかみ合わなかった。とは、02年当時連合会長として、経営側とワークシェアリングで協議した笹森前会長の話。
(多様な働き方の保障といわれた)多様就業型については、オランダがモデルと言いながら、それはうわべだけで、実はパートタイマーを増やして、労働力を安上がりにしようという側面があったのではないか。その結果、皮肉なことに派遣やフルタイムの有期雇用がどんどん増え、今回の派遣切りや雇い止めにつながった。とは、労働政策研究機構の浜口さんの話。
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